私のスペイン人家族。

スペインに来て驚いた事:その2 家族愛が強すぎる

愛情いっぱいでもたまにうざいスペインの家族愛

スペインの強烈な家族愛。子離れ出来ない両親、マザコン息子だけではなく娘たち…スペイン在住20年を越えても驚くことばかり。日本人にはちょっと行き過ぎに見えるスペイン人の「家族の絆」紹介します!

家を出るのは結婚する時?

日本だったら大学入学を機に一人暮らしをスタートしたり、就職を決めた時に自分でアパートを借りて独立するのは当たり前という感じですが、スペインは違います。

スペインの親たちの希望は、結婚するまでいつまでも家にいて欲しい。結婚してもなるべく実家の近くに住んで欲しい。息子や娘の希望もほぼ同じ。大学もなるべく地元に行くのが普通でが、もし家から離れなければならなくなったら?

2~3時間程度の距離ならば毎週末実家に帰ります。金曜日に大学の授業が終わったら1週間分の洗濯物をバッグに詰め込んで、バスや電車に飛び乗り実家へ。週末は地元の幼友達や家族と過ごし、日曜日の午後に母親が用意してくれた1週間分の食料がつまったタッパーときれいにアイロンがかかった洋服を持ってまた大学のある街へ戻ります。就職先が他の街だった場合もこんな感じの人多いです。

ただし大学を出てすぐに仕事が見つかる事は殆どないので、まずは生活費のかからない実家に戻って仕事を探す人も多く、当然就職先の第一候補も地元の街。

そして就職出来ても家からはなかなか出ていきません。だって家にいれば黙っていても暖かくておいしい食事があるし、家は掃除しなくてもピカピカだし、洋服にはアイロンがびしっとかかってるし…何しろ生活費がかからない!そうです、スペインは実家に暮らす=生活費タダ。就職していても家が特別貧しくなければ稼いだものは全部自分のお小遣いなんです!親も生活費を入れろとはもちろん言いません。

やっと家から出て行くのは、同棲や結婚する時です。ということで、都会のマドリッドやバルセロナならともかくバレンシアのような中規模都市では一人暮らし用の物件が余りありません。需要がないんですね。かくいう私も一人暮らしの時は無駄に3部屋もあるアパートに住んでいました。

ちなみに私の元同居人Jは、28才で一人暮らし(自立)を決意。お母様に伝えたら、「何が不満なの!お願い、出ていかないで…」と泣かれたそうです。ヒゲもじゃの熊五郎みたいな30才目前の息子に向かってこの台詞。しかも家には娘さんがまだ4人もいるのにこれですから。

スペイン人はマザコンか

日本人よりかなり頻繁に母親とコンタクトを取るという意味ではYESかも。

でも日本のネガティブで少し歪んだマザコン像とは違って、明るくて健全なマザコンで、家族とは常に密な関係を築くのがスペイン流です。(中には度を過ぎている人もいるし、そういう場合は親の方にも問題ありです!)

そしてスペインの場合は母親&息子の関係だけが濃密なのではなくて、家族全員の関係が濃い。娘も息子も両親には良く連絡するし会いに行きます。

毎日電話は当たり前、たかが1週間のバカンスに家族総出で見送り、病院の付き添い(風邪程度でも有休取って付き合う人も!)、いい年した子供たちがいつまでも実家暮らしで上げ膳据え膳、やっと一人暮らしを始めたかと思ったら週末は必ず実家で家族とランチ…。

ありえなーい、と笑っているそこのあなた、スペインでスペイン人の彼氏や彼女が出来たら毎週強制拉致される可能性大ですよ!

子供の彼氏&彼女は家族の一員?

日本だと当人同士が結婚を決めてから、始めて婚約者の両親に会うなんて事もよくある話ですが、スペインでは彼氏や彼女が出来たら家族に紹介するのは当たり前です。だって家族間で隠し事はないから。

家族に会ったら正式な彼氏、彼女という感じだけれど、結婚するという事でもないし、結婚しないの?なんて事は普通いきなり聞かれませんので安心してください。

別に食事に招かれても日本のようにいい印象を与えたいと素敵なお土産を持っていったり、清潔感のあるシャツやお嬢様風のワンピース着用なんて気張る必要もまったくなしです。普段着OKで、手土産なくてもOK。最初の1度ぐらいは何か持って行ってもいいと思うけれど、それこそしょっちゅう行き来する仲になるので気を遣う必要はなし。

また、家族が周りの人にあなたを紹介する時も、例えば女性だったら初めは「息子の彼女です」って紹介されていたのに、付き合いが長くなるといつのまにか「息子の彼女」という称号が、「うちの嫁」に変わっていきます。これは子供の彼氏&彼女側もそうで、「彼氏のお母さん」だったのが、「お義母さん」となります。

子供が産まれたら?

子供は家族の宝。子供が出来たら、週1回のランチが、週3回実家でランチなんて事も!孫の顔を親に見せるのは子供の義務なので、近くに住んでいる場合は毎日顔を合わせる家族もあるぐらいです。

スペインのおじいちゃん&おばあちゃんはよく孫の面倒を見ます。共働きが多いけれどベビーシッターを雇うほどは稼いでない若い世帯が殆どなので、保育園の送り迎えをはじめ、ランチの用意や子供を連れていけない場所に出かける際の孫の世話と大活躍です。「家族なんだから当然」という感じで、孫を連れたおじいちゃんやおばあちゃんが街にたくさんいます。

この「家族なんだから当然」というコモンセンスは、思いっきり家族を甘やかし、頼れるときは思いっきり頼り、サポートする時はとことん、常に家族が一番で家族を擁護という姿勢に繋がります。

スペイン人にとっての幸せは、会社で出世でも、ブランド物をたくさん買うことでもなく、毎日家族と健康に仲良く過ごす、これにつきます。

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